引き戸は開き戸と違って開けっ放しにしても邪魔にならないし、反対側から他の人が開けて衝突した……なんてこともないので便利ですよね。
しかし一括りに引き戸と言っても、色々な種類があります。下レール式か上吊り式、インセットかアウトセット、戸袋式の引き込み戸など名称がたくさん。そこで今回は、これらの種類のメリット・デメリットを紹介します。
引き戸のレールの位置
引き戸にはレールが必要になりますが、戸の下にレールがある通常タイプ(Vレール)か、上のレールに吊られている状態(上吊り式)かの2種類があります。
Vレール
Vレールはよく見る一般的な引き戸で、下にレールがあります。
上吊りよりもコストが安いですが、ハウスメーカーによっては変わらない場合もあります。
上吊り戸
下のレールを掃除するのが大変だというのが引き戸の大きな欠点ですが、レールが上にあることによって掃除が楽ちん。レールにゴミが詰まってしまって故障したというトラブルも防げます。
開け閉めする際の音も静かで、振動が伝わりにくいです。
段差がないのでバリアフリーの観点でも良いですし、キャスター付きの家具を移動させるのも簡単にできます。
ハウスメーカーや工務店によっては、上吊り式にしても床の見切り材を入れるのが標準になっていることがあるそうです。
本来は同じ床材なら見切り材は必要無いので、事前にしっかりと確認しましょう。
納まり方の違い
引き戸の扉の納め方によって、インセット方式・アウトセット方式があります。
インセットは壁の厚みを削って扉を付けます。アウトセットは壁の外側に扉を取り付けます。
さらに扉を完全に壁の中に納めることができる「戸袋式の引き込み戸」もあります。
インセット
インセットにするメリット・デメリットには次のようなものがあります。
メリット
引き戸を開けても壁の厚みで収まるので、デッドスペースができません。
デメリット
壁が薄くなるので、コンセントやスイッチ、タオルハンガーなどを取り付けることができません。
アウトセット
アウトセットにするメリット・デメリットには次のようなものがあります。
メリット
アウトセット引き戸は枠が少ないので、見た目がすっきりします。構造上壁を薄くできない場所にも設置することができ、リフォームにもおすすめです。
デメリット
レールボックスの上に埃が溜まりやすいです。扉と壁の間に隙間ができるので、断熱性能や防音性能に欠けます。
床材の種類が変わる場所でアウトセットの引き戸を採用する場合は注意が必要です。通常の引き戸と同じ位置に見切り材を付けてしまうと、扉を閉めた時に見切り材が見えてしまいます。
扉の下で張り分ければ回避できるようなので、よく確認してみてください。
戸袋式の引き込み戸
戸袋式引き込み戸にするメリット・デメリットには次のようなものがあります。
メリット
普通の引き戸だと大きな枠が付きますが、引き込みの引き戸は壁の中に納まるので、見た目がすっきりします。
表も裏も壁として使えるので家具をぴったり設置できますが、壁が薄いのでコンセントやスイッチなどは取り付けできません。壁をふかせば取り付け可能なようです。
デメリット
ほとんどの製品で扉を取り外すことができず、戸袋の中にゴミや埃が入らないように注意する必要があります。
私はデザイン性から引き込み戸にしたかったのですが、夫からゴミが詰まって故障したら困るからと言われて反対されました。
引戸を完全に壁の中に収めた場合、引き出すときにフックを使う必要があって少しめんどくさいです。
完全に壁の中に収まらないような仕様にすることもできますが、そうすると開口幅が狭くなるというデメリットがあります。
まとめ
どの建具にもメリット・デメリットがあるので選ぶのが難しいですが、間取りの設計段階から設計士さんと相談しながら、使いやすくてメンテナンスしやすい家を作っていきましょう。